喧騒という文化
新型コロナのまん延により、都会から喧騒が消えました。
人の流れは、都市にとっては血流であり、喧騒の活気は都市の健康を意味していたと、いえるかもしれません。
さらに人々を運ぶ鉄道により、血のめぐりは格段と良くなり、都市はますます活気を呈していきます。元気になっていきます。
地下鉄は1927年、上野から浅草間で開通しました。昭和2年のお話です。当時の人々の活気は、白黒写真ですが残っています。
開通時の浅草駅。まるで年末のアメ横のようです。
実は、開通当時の白黒写真をカラー化する仕事がありました。
最近は、AIが自動でカラー化するので、本当に大丈夫ですか?と念を押しての受注です。
さっそくカラー化してみると、喧騒がよりリアルに響いて耳に入ってきたような気がします。そして、この装飾。私の生まれたころの昭和40年代でも、結構このような看板がありました。
結論からすると、手作業でやる意味はまだまだある、と確認できました。
AIは、膨大なカラー写真をコンピューターに覚えこませて、一番の頻度の高い配色を導き出します。しかし、実際はすべてのことが多数決にはならないのです。
例えば、車掌が来ている制服は、今では驚きの水色でした。こういうデザインというものは、統計学では導き出せません。
そして、素材が大分、手を加えないといけない状態も、AIには限界があります。上の写真は、奥の人の遠近感がおかしい。きっと合成しているのでしょう。
それを整えてから、着色をするのですから、いわば絵を描いているのと似たような感じになります。
皆さん、もしかしてこれらの写真を見たことはありませんか?
実は、12月26日から東京メトロの車両のモニターに映し出されているはずです。
内容は、
「Time Train~東京の地下で、時間の旅がはじまる~」
東京の発展、文化の拡がりを支えてきた地下鉄事業の歴史を共同通信イメージズに貯蔵するアーカイブ画像から紐解いていく企画で、第1回は地下鉄発祥の地ともいえる浅草画像を掲載しています。
企画:一般社団法人共同通信社/株式会社共同通信イメージズ
協力:株式会社メトロアドエージェンシー
1月15日まで車内で放映されているそうなので、見た方、感想をお聞かせいただけると嬉しいです。(1月いっぱい放映の可能性もあります)