高松塚古墳壁画
飛鳥のカプセルホテル
高松塚古墳壁画が、カビの問題で大きなニュースになりました。解体され飛鳥をはなれて東京に運ばれて、飛鳥という地で、古墳を感じとることが難しくなっていることは悲しいことです。高松塚古墳壁画は、現在は泥が石室内に流れ込んできて想像しにくいですが、もともとは漆喰(しっくい)がぬられ、真っ白な壁に絵が描かれていたことが分かっています。それだけでも、印象ががらりと変わりますよね。制作当時の色に戻した原寸大のレプリカに身を横たえたとき、あまりの居心地の良さに、本当に寝てしまいそうでした。目に入るのは頭の側にいる「飛鳥美人」と天井にえがかれた中国の星座「星宿図(せいしゅくず)」だけ。あとは白い壁なのです。
まったく死を恐れる暗い雰囲気は無いことは、仏教が伝来する前の世界観を知る上で貴重な体験です。講座では原寸大を体験できませんから、ミニチュアの高松塚古墳で楽しんでいただきます。※双葉社スーパームック「国宝 よみがえる色彩」、WOWOW「美術のゲノム 二の巻」で詳しく紹介