《賞道》稲光の臨場感

《賞道》稲光の臨場感

前回の賞道は「屏風」でした。
もうすでに「賞道の顔」になりつつある、デジタル復元された「風神雷神図屏風」です。





このフォトジェニックな屏風を背に、参加者が次々とパチリ!とやってました。
ご自身のフェイスブックのタイトル写真にされている方も^_^
こんな効果があったとは!





しかしこの屏風が非常に魅力的になるのは、やはりロウソクは一本で愛でた時です。
背景の金箔が柔らかく優しい光で輝き、風神雷神がふわぁっと浮かんで見えるのです。この視覚効果こそ、当時の人々の目を楽しませていた、屏風の醍醐味です。




それと同時に今回の注目は、金ではなく銀の魅力です。
酒井抱一の「夏秋草図屏風」のデジタル復元ミニチュアを制作し、皆様に例のごとくロウソクの灯りで体感していただきました。





この屏風、実は「風神雷神図屏風」の天空の世界を地上にもたらした内容になっています。
つまり、夏草は雷神の雨に激しく打ち付けられている様子が、秋草は風神の突風に吹き飛ばされる様子が描かれているのです。
そして天空の金に対しての銀の世界です。




銀の世界をロウソクで見てみると、まるで暗雲の中で稲光が走るような、冷たい光が浮かびます。
予想以上に銀の冷たさが闇に負けずに立ち現れてきたのです。





この効果を知っていて、銀を使ったのだとしたら、本当に銀の特質を、当時の人々は熟知していたのでしょう。
今回も、昔の人の造詣の深さに感嘆の息をもらすことしきりでした。





次回は「絵巻物」。
5月31日(水)19時(軽食は18時30分より)、地下鉄「三越前」とつながっているCOREDO室町3の「橋楽亭」です。
詳しくは後日フェイスブックなどでお知らせしますので、ご期待ください。