小学生も大いに楽しめる賞道

小学生も大いに楽しめる賞道

次期アメリカ大統領がトランプに決まり、そのショックがまだ大きかった11月11日、そんなこと全く関係ない!という異空間に行ってまいりました。
それは、小学校です。(^^ゞ




小学校での講演は、二年前に母校でやって以来。ちょっと不安でしたが、結果から申しますと、大成功!
校長先生も面白がって下さいました。しかも私がNHKスペシャル「カラーでよみがえる東京」に関わっていたのをご存じで、さらに喜んで下さいました。
本当に、反響の大きい番組です。菊池寛賞を受けるのもうなずけます。




小学校で講演するときに気をつけることは、とにかく分かりやすくすること。
今回は5年生約50名を前にお話をしたのですが、5年生は日本の歴史をまだ勉強していないとのこと。そこで、美術作品が作られた時代背景をお話しても始まりません。
なので、
「有名な奈良の大仏、今はこんなに黒いですが、もともとはドーン!」
と、画像でビフォー、アフターを見せて驚かすわけです。


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金ピカの大仏に驚いて、反応は面白いほどに、ワー!っと大歓声です。
次は阿修羅像……などとやっていくと、画面を変えるときにみんなでカウントダウンがはじまりました。
「3、2、1、ドーン!」「ワー!!」




私を招聘した担任の先生も、びっくりの盛り上がり。
彼女は、私の高校の同級生。
facebookを通じてつながり、今回の貴重な機会をいただきました。こういう流れは前回の高崎女子高等学校と同じで、SNS恐るべし、です。


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さて、「3、2、1、ドーン!」を3、4回も繰り返せば、飽きてくるのは仕方のないところ。
となれば、色々と体を動かすことで、刺激をあたえて、集中力をさらに引き出します。
まずは、高松塚古墳を体感するために、寝そべってもらい、どんどんと覗き込んでもらいます。
次は、風神雷神図屏風を、ロウソクの火(和蝋燭型のLEDライト)だけで見てもらう体験。
そして、最後は、貴婦人の打掛を着てもらいます。


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もうみんなワイワイにぎやか。何かするたびに盛り上がるので、私の方が元気をもらいました。
体感することで楽しい、ってことは、本当に理屈ではないんですね。
日本美術を何一つ分からない子どもたちが、心底楽しんでいる姿は、日本美術の本来の素晴らしさをそのまま説明しています。


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眉間にしわを寄せて「わびさび」を感じるのもいいですが、それが入り口で日本美術に近づけない現状は、やはりおかしい。
子どもたちのように、体感すれば初めてでも楽しめる。知識や解釈は、その後でもいいのです。
それを確認できた今回の体験は、私にとっても貴重なものになりました。




その日は、東京新聞の記者の方が取材をして下さいました。
記事になるか分かりません、的な説明をいただいていましたが、相当楽しんでいただけたようで、翌日には掲載されていました!
新聞の取材をいくつか受けたことがありましたが、翌日に掲載となったのは初めて。私の母がよそから「あなたの息子さんが新聞に載ってたよ」というのを聞いて、私に連絡をよこして初めて知り、慌てて新宿駅で購入して確認したのでした。


sinbun


この写真は、新宿駅で慌てて撮ったものです。