日月山水図屏風

日月山水図屏風

日月もと一双
「日月山水図屏風」は、大阪府の河内長野市にある金剛寺にある重要文化財の屏風です。「日月」は「じつげつ」と呼びます。室町時代の作品と考えられていますが作者は不明。この作品を大変気に入っていた随筆家の白洲正子は、修行僧が日々の修行の中で感じるままに描いたのだろうと予想を立てています。それが妙に納得できるのが、このダイナミックな表現。まるで、自然が生き物のように躍動感に満ちています。自然と一体化するような毎日を過ごしていると、きっと山にも河にもそして空にも、生命がうねるように巡っているのが分かるのでしょう。
日月復元一双
復元した姿は、あまりにも予想に反していました。”シルバー&グリーン” なんとモダンなのでしょう!室町時代と言えば、能やお茶や花道も始まった時代。「わびさび」萌芽の時代なので、現代の伝わっている枯れた姿とそれほど印象は変わらないと勝手に思い込んでいました。が! なんという「スッキリ・ド派手」な姿でしょう! やはり、今の「枯れた」「渋い」だけの世界とは違っているようです。
日月復元左隻月
私が、そのセンスに驚いたのは、月の表現です。銀の背景に、銀の月が輝いているのです。まっ平らの背景に、多少盛り上がる形で月が描かれているのですが、ちょっとした光の加減で背景が夜のように深く沈み、月がぎらりん、と光る……。この効果を得るには工夫が必要です。当然、美術館にあるような真上から煌々と電灯が照らしていては、到底、月は輝いてくれません。日本家屋は庇が長く、外からの太陽光がほぼ真横から入ってきます。少なくとも横からの光でないと、屏風は輝きださないのです。
日月立てまわし
さらに工夫して、私はこんな風に配置してみました。というのも、緑の山の風景は昼、雪山の風景は夜だからです。これを同時に昼の風景は明るくしつつ、夜の風景は暗くするにはどうしたらいいか、としたときに、この配置を思いついたのです。それにしても、奇妙な配置ですよね。でも、こうしてもいい大きな理由が実はもうひとつあるのですが……。これはぜひ、「賞道」にご参加いただいて、体感してもらいながらご説明いたしましょう。

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