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視線のトルネード


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もっともポピュラーな日本美術といってもいい俵屋宗達の「風神雷神図屏風」。デザイン的にも、キャラクター的にもアイキャッチなこの屏風、この作品をさらにどう楽しめは、いいのでしょう?
実寸大のレプリカを使ってわかった秘密は、ふたりの視線。ふたりがにらみ合っている印象を受けますが、よく見ると微妙に違っているのです。彼らの視線は屏風から前の方に飛び出しているのです!

向かって左手からやってくる緑の風神は、視線は前に飛び出しているものの、その視線はやはり白い雷神を見ているように見えます。しかし、一方の雷神の視線は、もっと手前、ちょうどふたつの屏風の真ん中手前へと注がれていました。ですから、ふたりの真ん中に座って鑑賞者が雷神を見上げると、まさに視線があうような感じに!
その視線に威圧感を覚え、鑑賞者はもとの風神へと視線を送ります。すると風神はまた雷神へと視線を注ぎ、さらに雷神は鑑賞者を見下ろして……。これぞ、視線のトルネード!

どこに座って鑑賞する?


151015風雷神→視線
この図は、先月出版した「誤解だらけの日本美術」のうち、第一章「俵屋宗達○風神雷神図屏風」で掲載したもの(P50 図27)です。矢印はそれぞれの視線の方向を示しています。鑑賞者は真ん中に位置すれいいのですが、真ん中といってもどうすればいいかは、どうぞ本を御手に取ってみて下さい。
それを踏まえたうえで現在開かれている京都国立博物館「琳派 都(みやこ)を彩る」展へ行かれると、きっと鑑賞の仕方も変わってくるはずです。

骸骨をさがそう!


【さらに】情報として、とっておきのお話をしましょう。
「風神雷神図屏風」は金屏風ですから、もちろん光っているのですが、美術館のような上からの照明では、十分に輝きを得られません。もともとあった日本家屋は、庇(ひさし)が長くて、外光は横から入ってくることになります。特に夕陽などは赤い光が直接入ってくるので、金屏風がやさしく輝き出すのです。
金は輝き、絵の具の方はそれよりも落ち着き色が沈んで見えます。すると、風神雷神のシルエットが強調され、浮遊感が増しているのが分かります。
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この光の中で探したいのか、風神雷神の「がいこつ」。目は下地の金がそのまま残されているため、顔は暗くなっているのに、まん丸の目だけは背景と同じように輝きます。その表情に出会えるには、屏風を立て回しベストポジションを探らなくてはなりません。
だから、触って、いじって、体感する「賞道」は、本当の日本美術を堪能するのに大切なのです。

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