色あせた日本美術や白黒写真画像&映像をキレイにしたり、加工したり、カラー化したり。レタッチ技術で、ライフスタイルをもっと楽しく、美しく。

これは正式には、白黒のカラー化の例とは言えないでしょう。
と言うのも、依頼されたのは陽に焼けて色が退色した写真だからです。つまりは、もともとはカラー写真だったのです。

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ご覧のように、見事に色あせています。
昭和50年くらいの新木場の空撮写真なのですが、新木場にあります瀧口木材株式会社の社長室に長年飾られていたといいます。角度が違うB3くらいの紙焼きが二点。
社長室の改装を前に、飾られていたこの写真を復元してほしいと相談をいただいたのでした。

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額を外すと、その陰で色の残った部分が出てきました。これは、全体のトーンを考えるときに参考になります。
思い入れのある写真ですから、トーンももとに戻したいものです。思い出もよみがえるように。
次に、ガラスを外すと、付着してた部分がべりっとはがれ……。しかも目の引く煙突が!
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この部分は一見何にも見えませんが、復元していくと、面白いものが見えてきました。答えは後ほど。
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まずは、とにかく画面を丁寧にキレイにしていきます。
カビもたくさんありますし、ホコリもびっちり!それに剥落……。それが二点、素材を整えるだけで、一ヶ月以上の時間がかかりました。

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次にカラー化に向けて、極端な赤みを取りつつ、絵としてはっきり見えるところまで、コントラストを立てていきます。
このさじ加減が、腕の見せどころ。やり過ぎてはいけません。

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いよいよ色をつけていきます。色をつけるのも、大変!マスクをひとつひとつ描き起こすからです。
もちろんここまでするのは、そのクオリティーを求められているから。自動でチョイスするツールもありますが、細かいところが粗くなるので今回は手作業にしました。きっと、完成した作品はよく覗き込まれるでしょうからね。

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海と木材から着色して全体の雰囲気をつかみます。
それだけで、ぐっとリアルになってきました。
そして緑。更地に雑草が生えて見える緑は、まだらでなんとなく白っちゃけてます。このニュアンスが難しい。

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屋根や煙突のなどの細かいところを彩色して、完成しました。
三ヶ月かかった力作です。

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見栄えのいい豪華な額装をして納品。
どうです、かっこいいではありませんか(自画自賛)。
お客様も相当の喜んでくださり、その証拠に、「組合の人々に渡したいから、40部ずつ焼きまししてほしい」と依頼して下さいました。
私は丹精を込めたのでこの作品の思い入れがあますが、先方の在りし日の新木場が復活したことの喜びの方が大きいのに、反対に感動をいただきました。

今は、地元の銀行に貸し出しているそうです。
何か、嫁いだ先でその家だけでなく、地元の人々にも愛されている娘を送り出した親のような心境です。

自動化によって、どんどん手軽になる白黒のカラー化ですが、スーパーレアリズムの絵画に存在価値があるように、カラー化にも芸術性が存在すると信じ、これからも手間でも丁寧な作業にこだわりたいと思っています。

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さて、あの部分から何が現れたか……。
雪で白く浮かび上がる日本アルプスでした。