子供たち向け賞道、大にぎわいでした。

葉桜もなかなかの風情もある京橋築地小学校にて、小学生向け賞道「国宝をべたべたさわろう!」を開催しました。
子供たちの元気もあいまって、なんとも春らしい一日になりました。

何といっても全体で150名様をゆうに超えるご来場。
私も男の子二人の親ですから、ご父兄の方々がどんなに目を見張っていても、どんなに騒ぎになるか、と望ましくない想像もして覚悟していました。

でも、ふたを開けてみると、そんな心配は杞憂でした。
みんな阿修羅の本当の姿にびっくりしてくれましたし、高松塚古墳は「秘密基地みたい」とはしゃいでくれようです。もちろん、風神雷神でもLEDローソクで表情の変わる様を目の当たりにして、びっくり。

私が担当した絵巻物も「ウォーリーをさがせ」的に、「この人さがして!」「それでは次はこの人!」と問題を出して楽しみながら、自然と絵巻物をくるくるする操作を覚えてもらいました。

どうででょう。美術の技法や作者や歴史さえもしらない子供たちが、こんなに熱中するのです。いかに今の日本美術が誤解されているか分かるでしょう。
大人たちが美術館でガラス越しに煌々と照らされている日本美術を、解説プレートを見比べて鑑賞することに、限界があるのはあきらかです。

日本美術が好きで、歴史も知っていて楽しんでいる方には申しません。
でも、日本美術がそれほど好きでもなく、ブームにのっかって美術館行ったもののなんかもの足りなさを感じている人は多いはず。そんな人のためにこそ「賞道」はあるのです。

「昔、高松塚古墳の近くに住んでいたのですが、こんな鑑賞ができるなんて思いませんでした。目からウロコでした」
と言って、感動を伝えて下さった方もいらっしゃいました。子供以上に大人の方も楽しんでいただいたようです。

あ、子供優先なのでご父兄からは料金を頂戴してなかった(;^_^A

穴太衆石垣と醍醐の花見ツアー

昨年の夏、静岡体育文化協会(体文協)の社会人大学に呼んでいただき、静岡県下三か所をめぐって「賞道」を体験していただきました。実は、同じ昨年度の社会人大学の6月は、穴太衆石工頭の粟田さんが御登壇され、穴太衆も石垣も興味があった私は、お話を聞きに行ったのでした。


https://blogs.yahoo.co.jp/dqwfc557/33589543.html
そのときの記事は「方丈記的ブログ」に記載しております。
(ヤフーブログはなくなるそうで、5月以降アメーバブログに移行します)

その粟田さんが春の体文協一泊バスツアーで、地元の琵琶湖のほとり坂本を案内して下さるというので、参加したいと申し出たところ、体文協の佐野さんから「でしたら、小林さん、翌日お話して下さいませんか」とお勧めいただいたので、こんな私でしたら、ということでお引き受けしたのでした。

やっぱり面白かった、というか、もうとても粟田さんには敵いません。(別に競っているわけではありませんが…)その生きざまとか、気合とか、語らずに感じさせるオーラとか、私になくて私が憧れるものをたくさんお持ちの方です。

今回もちょっとしたお話で、気になることをおっしゃいました。その言葉の前に、文化財に指定されている石垣を修復する場合は、ひとつひとつの石に番号をつけ、墨で十文字の印をつけて水平垂直の記録もつけて解体し、戻すときは元あった通り番号順に、そして水平垂直も合わせて直さないといけないのだそうです。

穴太衆石工頭の粟田さん。頭上の大石が出っ張っていますが、今年修繕するそうです。すぐにはくずれはしないけど、とおっしゃってました。

そこで疑問が出てきました。
きっちり元通りに戻すのと、自由に新規に積んでいくのと、どちらが作業的に大変なんでしょう。
「きっちり元通りに戻す方が、楽です。だから、若いのが育たないんです」
これなんです、ぽっ、と簡単に色々な内容を含んだ言い方をするんです。

今は文化庁などからの修復の仕事がほとんどで、その行政は、現状維持を一番大切にするあまりに、そのまま戻せといいます。それは一見正しいのですが、石工にとっては「考えて、感じて積む」修行ができないのです。
つまり、文化財を後世に残すことはできても、文化そのものを残していることにはなりません。これは小さくない問題だと思いました。
でも、こんなことが色んな職人の世界にきっとあるのだと思います。

話は変ります。
その日最初に行った西教寺。来年の大河ドラマは「明智光秀」が主人公だそうですね。一族の菩提寺である西教寺では早々に飾り付けが。
しかし私が注目したかったのは、客殿です。これ、伏見城から移築したそうで、色々な間の装飾を狩野派が手掛けています。鶴の間や賢人の間、帝鑑図のある上座の間など、賞道的には中に入って鑑賞したかったのですが、なんとのぞき穴から見るという、残念な状態。これでは何も伝わりません。

その素晴らしさを伝えられるようにできていない客殿。私の地道な戦いは続きます。

翌日は、私の担当です。私は粟田さんと反対に、話してみな様を盛り上げるしか術がございません。まずは醍醐寺に行き、色々とご案内…なのですが、肝心の桜は蕾がほとんど。ですが、だからスムーズに見学ができるというものです。
一分咲きくらいでも花開いているものもあったので、それなりに鑑賞できたのではないでしょうか。

昨年夏の台風で、かなり被害の大きかった醍醐寺。
それでもけなげに咲く桜に感動ひとしお。

さてそのあとは、長岡京までいき筍懐石で有名な「錦水亭」にて講演です。(もちろん、筍料理に舌鼓を打った後に)

みなさんよく歩いてよく食べた後なのに、元気いっぱい!
私も調子に乗っていろいろと冗談交じりにお話ししたら、どっかんどっかん受けますので、本当にいい気分になってしまいました。でも、これが怖いんですよねえ。気をつけないと。
そんな盛り上がった現場の動画が、you tubeにアップされました。

どうでしょう。楽しそうでしょう?
実際、楽しかったのです。静岡の方々は、楽しむのがお上手です。

そして、お気持ちが本当にあったかい。
東京のアトリエに戻ってみたら、一枚の絵手紙が送られてきていました。
屏風の送付や、実は実現するまでに色々と苦労があったのですが、ホントやってよかったと思いました。喜んでいただくことがモチベーション、ってイチローも言ってるくらいですから。

小学生向け「賞道」、4月14日中央区立京橋築地小学校にて開催!

小林美術科学とキッズMのコラボ企画
日本美術イベント第3弾!
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~ 日本美術を通して学ぶ、かんたん鑑賞ワークショップ ~
「国宝をべたべたさわろう!」

何度か小学校にて開催してきた「賞道」、その斬新な鑑賞法と日本文化の伝承の重要性が中央区教育委員会に認められ、今回ご後援いただきました。
デジタル復元師・小林泰三が復元した国宝を触って鑑賞する、いわば中央区公認のワークショップです。

「絵巻物を触った経験がある人?」と前回開催した小学校で質問したときに、あると答えたこどもはなんと1人(参加小学生約90人)!
「おじいちゃんちの蔵にあった!けど触ってない~」

「じゃあ、他の日本美術は??」
「ない~!でも美術館でみたことあるよ!!」

そう!日本美術品のイメージは、ガラスの向こうに展示されていて、触れずに、ただただ眺めるもの。

でも日本美術品、もとは使われていた道具。手で触って使うもの。色使いも本当は・・・!!

遠くからしか見れない国宝を、使われていた時代の色で、当時の使い方で、実際にレプリカを触って体験できちゃうイベントです。

参加したこどもたちの目の輝きが半端なく、しかも同行している保護者や先生も思わず身を乗り出しちゃう。大人も目がキラキラしてる(笑)

日本美術科学とキッズMだからできる、なかなか他では開催していないイベントです。

2020年のオリンピックを控えますます国際化がスピードアップしている日本。日本美術より西洋美術の方が詳しい日本人。実は日本美術はとても簡単で楽しいんです!

しかも、今回は小学校の体育館開催のため、「小学生500円/人」 で参加できます!

是非この機会に、お子さまに「他ではできない経験」をさせてあげてください。

日時 4月14日(日)10:30~12:00 (開場10:00)
会場 中央区立京橋築地小学校 体育館
対象 小学生
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お申込はこちら↓
https://docs.google.com/…/1FAIpQLSdFNFwA6TGbfkVxs…/viewform…

※お問合せ先 キッズM  info@kidsm.org
  ・未就学児しかないけど行ってみたい
  ・大人だけでも行けるの
  ・うちの学校でも開催して欲しい
 
などなど、ありましたら一度ご連絡ください。

賞道のこころ、テスト版

あまりにばたばたして、1ヶ月前のこともなかなかアップできませんでした。

去年は「賞道のいろは」などはやっておりましたが、「賞道のすすめ」はお休みして、クラウドファンディングを挑戦してみたり、関西での活動を展開したりしておりました。

「賞道のすすめ」を控えていたのはあともう一つ理由がありました。どうしてもこのタイミングで、「賞道」というものをもっと深く捉え、完成とまでは行かないまでも、もうちょっと考え方というか生活態度として体系化したいと思っていたからです。
それを私は「賞道のこころ」として4回シリーズとしてまとめ、ちょっとテスト版を実施しておりました。

いわば、賞道の上級編です。なので「賞道のすすめ」を受講いただき、賞道がなんであるかが分かっている方、その後私と親しくしてただいて、賞道を支えて下さっている方々にモニターになっていただきました。このシリーズは、基本私の話だけなので、賞道に共鳴していただいている方でないと、怖かった面もあります…。

反省点も多いですが、成果は非常にあったと思います。手応えがありました。
やってみて、この「賞道のこころ」は大学でいう一般教養だな、ということでした。(これも、モニターからのご意見です)
これを受けた上で、あなたは賞道の何を専攻しますか?ということになりそうです。

1.「色即是空の”色”」色、宇宙観(個の広さの認識)
2.「外の移ろい 内の移ろい」無常、風化(個の深さの認識)
3. 「月陰の民の役割」二重構造、階層(個と外との認識)
4. 「言語としての日本美術」表徴、見立て(外へのはたらきかけ)
どうでしょう、この内容。
分からないですよね、これだけでは。
でもこれを受けていただくと、日本美術が、現在解釈されている美術とは全く違う機能で、各時代を彩っていたことが分かると思います。

もっとブラッシュアップして、近々、本格的に始動したいと思います。
「賞道のすすめ」を受講されたかたを中心にご案内をいたしますので、もしもっと賞道を知りたい方は、参加してみて下さいね。
よろしくお願い致します。

万葉の色世界、満喫。

本格的な紅葉の季節に入るちょっと前ですが、目白庭園にて秋の「賞道のいろは」を開催いたしました。
今回のテーマは「一日丸ごと万葉体験!」。
高松塚古墳を体感しつつ、他にも味覚やら触覚やらをワクワクさせる会となりました。

私もさっそく体感をしております。
舎人の装束を身に着けての解説です。
意外にも着心地がいいですし、デザイン的にも古めかしい感じがしません。
ちょっとほしくなりました。

そして、原寸大のデジタル復元高松塚。
外からの光を遮断するために黒布で覆いかぶせています。

「行ってらっしゃ~い」

と言いながら、入口の幕を下ろします。
もちろん、あの世にいってらっしゃい、という意味を含んでいます。(;^_^A
そして、怪しく光るロウソクの灯りで飛鳥美人とご対面です。

正面を向く女性と目線を合わす、なんて、実際に横たわらないとできません。
自分で言うのもなんですが、これは本当にあり得ない貴重な体験です。

「賞道のいろは」をプロデュースするダイスコネクティングの小犬丸さんには、いつも驚かされます。
ご覧ください、この用意された万葉の食品たち。
この他にも数々の料理が並べられ、「おしのぎ」以上のボリュームとクオリティーに、感嘆の声が上がりました。

「一日丸ごと万葉体験!」のもう一つの目玉は、万葉装束を着てみよう!というもの。
後半は、万葉コスプレ大会のようになっておりました。
晴れやかな衣装を身にまとうと、本当に皆様笑顔になりますね。

そして今回、私にとっての大収穫は、このシーン。
自然の中から立ち上がる、万葉装束の極彩色。
その時代、自然の柔らかい色の中から、これほどまでにきらびやかな色彩が突如として現れたら、一般庶民はどう思ったでしょうか。
「これは夢か現か、現か夢か…」

これこそが、賞道。
知識だけではたどり着けない、確信というものがあるのですね。

英語での講演、積み重ねですね

今年も神奈川工科大学にて、海外からの学生へ向けて英語でお話をしました。
第1回目はマレーシアからの学生たちに、そして3週間ほどあいて2回目はインドネシアの学生たちにです。





一年ぶりですから、だんどりを思い出し、それなりに練習を繰り返し徹底していたつもりでしたが、やはり実際にやってみるとうまくいかないところが…。
でも、マレーシアの学生たちのノリの良さに救われました。
反省点は多いながらも、体感する楽しさは伝えられたようです。





不思議と人気の「びんざさら」。下写真のアーチ状のもので、田楽の踊り子が手にしていた、じゃっ、じゃっ、と音のなる楽器です。
前の小学校でも、終わってから触らせてほしいとの声がたくさん上がりました。





1回目が終わった数日後、この機会を与えてくれ英語の指導もして下さっている「iDen」の茨木さん(左)、荒井さん(右)といっしょに構成全体の見直しをしました。





今まではちょっと凝った英語表現を丸暗記していたのですが、それだと何かセンテンスが抜けてしまったとき、あるいはスライドが上手くいかなかったとき、ちょっとでも想定と違うともうどうしたらいいか分からなくなってしまいました。





そこで特に工夫したことが2点あります。
ひとつは、簡単な言葉でいいから、自分の言葉で話すこと。
もちろん緊張の中、とっさに単語が出ない場合もありますから、シナリオに簡単な文章を書いておきます。
それを本番までに何度もシミュレーションしました。





もうひとつは、絵をかいて説明すること。
どうしても言葉足らずになりがちですから、そこを絵で補います。
体を動かすと会場内の空気も動きますし、かいている間に一息つきながら次の言葉を考えることもできます。




というような感じで2回目インドネシアの学生に向けてやったところ、自分でも納得できる成果を上げることができました。

でも、思い出したのです。
「賞道」を始めたころもそうだった、ということを。
今では多少気持ちに余裕をもって楽しくさせていただいている「賞道」ですが、当初は失敗もたくさんあり、積み重ねがあるからこその今なんだ、と思い出しました。

近道はないんですね、こういうことは。

子どもにも相性のいい日本美術

10月4日(木)、中央区立月島第二小学校の6年生を対象に、「本当の日本美術の面白さを学ぼう」というタイトルで授業を行ってきました。
今回、夏休みの子供たちと行った「ミュージアムをつくろう!」プロジェクトを企画して下さった、キッズMさんとの共同プロジェクトです。




控え室を示す張り紙に、私の名前とともに絵巻物が!
ウェルカムな雰囲気が、本当に心に沁みてきます。





今回は、2時限目から4時限目まで各クラスごとの授業、給食をはさんで、5時限目に6年生全体の授業を体育館で行うという、なかなかハードなスケジュール。
元気いっぱいの子供たちですから、これは相当です。気合が入ります。





初めは絵巻物。
「年中行事絵巻」の「祇園御霊会」を鑑賞してもらいます。
自分の手で触って、くるくると動かすことによって、祭りの行列が動き始めます。





たくさんいる人々の中から、ウォーリーを探せ、みたいに
「この人を探してください!」
と言うと、熱中して探し始める子供たち。
自然と、絵巻物をくるくるし始め、

「あった!」

と、うれしそうな声が上がります。




前日に思いついた、この「ウォーリーを探せ作戦」は、ありだな~

次に、風神雷神図屏風を灯りを付けたときと、消したときの両方を鑑賞します。





見る子たちの反応もさまざま。
眼と歯だけが光る、骸骨のような表情を見つけて嬉しそうな子、本当に怖がる子...
大人になって、鬼の絵を見て怖いなんて思うことはなくなりましたが、そういえば子供のころは本当に怖かったものでした。
しかも、こんな暗闇でロウソク一本ですからね。

でも、この暗い中での鑑賞を、昔の人の気持ちとつながることができた、と言ってくれる生徒さんもいました。
本当に嬉しい反応です。

そんなこんなを3回繰り返して、いよいよ給食です!(^^)
給食なんて、機会がないといただけませんから、ここはぜひ、ということでお願いしておりました。





え、こんなにヘルシーでいいんでしょうか。
まるで、私のために作っていただいたような、バカ渋なメニューです。
ただ、和食といっしょにのむ牛乳だけは、昔とそのまま。
このミスマッチが、却って懐かしい味でした。


さて、後半戦です。
(前半戦が3回あるので、本当はそういう感じではありませんが)

クラスの女の子一人に、淀の着物を着ていただきます。
もう一人男の子には家来役をしてもらいます。





高級な着物です、ただでは着させません。

女の子「誰かおるか?」
男の子「姫、ここにおりまする!」

という寸劇をしてもらいます。
女の子は、はじめ後ろを向いて、打掛を翻しながら正面を向き、セリフを言います。
ぶっつけ本番。

「誰かおるか?」
バサッ!





どうです?
これは寸劇史上、最高の「ひるかえり」です。

普段は恥ずかしがって、こんなに盛り上げることはない、と先生がおっしゃっていたので、これも大成功のようです。
こんな遊びを通して、昔の人の暮らしぶりが実感してもらえるといいですね。





もう一つは、ド派手な色の仏像を解説しました。
「堂内のうす暗い中では、このド派手な色もマイルドになって、きれいに見えたんですよ」
この小学校の修学旅行は富士山だったそうです。
なので、中学校になって京都・奈良をめぐるときに参考になればと思ってお話しました。




中学校へすすむ子供たちへ、
「今の好きを大切にしてください」
という言葉を贈りました。

そもそも私がデジタル復元師になったのも、子どものころから「絵が好きだった」ということから来ているのです。




贈った言葉が通じたのか、あるいは本当に美術品を楽しんでもらえたのか、
講演が終わっても
「触らせてください」
「質問いいですか」
と最後までエネルギッシュな皆さんでした。

お陰様で、無事終了。
またまた燃え尽きました。

着色のできること

ほぼ一年ぶりの「色再アルバム」の更新です。
どうしても、今、他の仕事を中断してでもしなければいけないと思って、必死にやりました。
この写真のカラーライズです。
でも、別に仕事として受注したわけではありません。今日、色々と感じ入ることがあって、自分のためにやりました。





写っているのはドロシー・カウンツ(Dorothy Counts)。
1957年に、白人しか通っていなかった高校に入学したアメリカ初の黒人女子高生です。
どんなに奇異な目で見られていたか、嘲笑されていたかは、後ろの人たちの様子を見て明らかです。
実際にひどい迫害を受け、「このままでは生命が保証できない」と4日目に退学することになります。




なんで私は、急にこの写真を色つけなければ、と思ったのでしょう。
たぶん、今日が9月11日だったから、ということもあるでしょう。
そして、セレーナ・ウィリアムスが全米オープンで主審に罵声を浴びせ、会場のブーイングで、勝者の大坂なおみに悲しい思いにさせたこともあるでしょう。
なんか、今も全然変わってないんだ、という気持ちが、だんだんともたげてきました。




もう一つ、どうしてもカラー化しなければ、と思うに至ったきっかけがありました。
この写真をAIで自動カラー化した写真を見ながら、「61年後の今、ニューラルネットワークによってよみがえった負の歴史は、これからも色あせることはないのだろう。」という記事を読んで、何か残念でならなかったのです。





これが、ニュートラルネットワークなる、AIのディープランニングを利用してたくさんの白黒写真、カラー写真をコンピューターに覚えこませ、自動でカラー化するプログラムを使った結果です。
これが、全然よくないのです。
これでは、何も伝えていないのも同然です。
「負の歴史は、色あせない」という記事の言葉は到底、心に響いて来ません。




記事を書いた方は、きっとカラーライズのことは余り知らないかもしれませんが(でも、それを安易に記事にしてお決まりの言葉をつけるのは感心しません)、このカラーライズの作業をしてSNSにアップした人は、有名大学の教授で情報デザインとデジタルアーカイブの専門家でした。
カラーライズにも色々とレベルがあって、それは適材適所に使わないと成果は期待できないということを、知っているはずの方からの発信なのに驚きました。
あまり考えずに、ポッとアップしてしまう感覚が、Web記者だけでなく専門家にまで浸透していることに危機を感じます。
(私も、油断するとやってしまいますが……)




こういう時のカラーライズは、クリック一つではなく、一つ一つを吟味して慎重に、気持ちを込めてやるのがいいと私は感じています。
気持ちを込めた復元が、どれだけAIカラーライズと違うか、どうしても確かめたくなりました。
丁寧に一つ一つ復元していくとき、その人たちの気持ちを想像したり、当時の時代の空気を考えたりしながら進めます。
復元していくと、背景にいるのは子供たちだけでないことに気づきました。大人も見られます。想像よりも厳しい世界なのが分かってきました。





私が復元した画像です。
ご覧いただいている皆さんに、感想は委ねます。
今日私が引っかかっているのは、実はカラーライズということではないのかもしれないからです。
最近、世の中から「慎重さ」「謙虚さ」「畏怖」などがなくなってきていることが心配です。
思ったことをすぐに発信して、それにすぐに反応して、また反応して、拡大して…… いつ反省するのでしょう。




私はいつも立ち止まって、反省ばかりです。
次の画像を発見して、早速、反省させられました。





見事です。負けました。
欧米の方がカラー化したのではないでしょうか。感覚がやはり違います。
空気がドライなのが分かります。私の方は、なぜか湿気があります。ホントに不思議です。
コダクロームと富士フィルムの差があるようで、面白いですね。

でも、NHK「よみがえる東京」では、私のこの湿った色彩感覚が活かされていた、ということですから大丈夫です。
私は私の表現を追求します。

ミュージアムつくりました!




キッズMさんの主催、iDenさんのバックアップで進めて参りました「ミュージアムをつくろう!」プログラム、無事完了いたしました。
当日の展示会には本当に暑かったにもかかわらず、参加した子どもたちのご両親、祖父母だけでなく、様々な方々がいらっしゃいました。運営や、会場の説明も子どもたちが行います。





そんな方々が驚いたのは、きっとその作品のクオリティーでしょう。
見て下さい、この屏風の大きさ、そして、絵巻物の出来!
レクリエーションで、実物大の屏風レプリカで遊んだり、ロウソクの灯りで絵巻物を楽しんだりした成果が、しっかりと作品に出ていたので、本当に感動しました。






やることはやっておこうと、けっこう頑張って屏風を持ってきたわけですが、その大きさに感動して「大きいの作りたい!」との声には、正直びっくり。でも実現してしまうんですからね~
それに、地獄の絵巻物を見て「怖いから見ない!」と、天井を見ながらくるくるしていた女の子が、捧腹絶倒のキャラを活かした絵巻物を2本も作ったり。
啓発された子どもたちの想像力と創造力と行動力は、すごい!という言葉しか見つかりません。





そんな皆さんに、「ミュージアムは作品を片付けて大切に家に持ち帰ったり、自由研究の成果として学校に報告したりすることも仕事のうちです」と、まるで「おうちに帰るまでが遠足です」みたいなことを講評し、ひとりひとりを表彰しつつ修了証も授与させていただきました。




私も小学生の子を持つ身なので分かるのですが、子どもって他に代えられない喜びと苦労をどっさりくれる存在です。
表面的にそれがすべていいのだ、と言える立場にはありません。でも、人生を豊かにしてくれているのは、間違いありません。
意外と自分が子どもに受けがいいことも含め、色々と勉強になりました。
私の今年の夏も、これでひと段落です。

大人数での賞道、成功!

静岡体育文化協会(体文協)の社会人大学で、8月の7、8、9日の三日間、静岡県の島田、静岡、浜松の三箇所を巡って講演をしてきました。
静岡では、昼の部と夜の部の2回ありますので、全体では4回のなかなかハードスケジュールです。





実は穴太衆(あのうしゅう)の粟田さんが、6月末に同じこの社会人大学で講演されたとき、私は静岡の夜の部に聴講生として出席しました。
その時に出席されていた人数が30名くらいだったでしょうか、皆さん非常に熱心に質問もされていたことが印象的でした。





実際に来てから分かったことが2つあります。
1つは、静岡の夜の部は同じく30名ほどなのですが、他の会場は80名以上の方々がいらっしゃったのです。(上の写真は静岡会場)
これは想定していませんでした。賞道は、実際に体感していただくので、だいたい40名までが限界なのです。





初回の島田でも80名ほどだったと思うのですが、何となく話し慣れた内容だったのか、うまくまとめて、大人数でも時間通りに終えることができました。
終わった時にある方が「明日の静岡も同じ内容ですか?」と聞いてきました。私は内心、何でそんなことを聞くのだろうと思いながら、「持ってきた作品は変わりませんが、お話しする内容は変えられますよ」とお答えしました。
改めて主催者に聞いてみると「内容変えても構いません。同じ話をすると飽きるので全回変える先生もいます」とのこと。
これが来てみて初めて分かった2つ目でした。




初日の夜、ホテルに入って、同じ作品を使って別のお話をする構成とスクリーンに映す画像を、急きょ整えました。
これで2つのコンテンツができたので、4回の講演、2つの内容を2回ずつすることができます。





翌日の静岡での昼の部、急きょ作った方のコンテンツをお話しします。聴講者は約80名。今回初めての構成なので探り探り、ちゃんと伝わっているか確認しながら慎重に進めます。(上の写真「銅釜処」は追加したネタです)
そして、鑑賞の時もお一人お一人丁寧に…。としているうちに、やはり時間がかかってしまいました。全員に体感していただいて終わったら、30分のオーバー。
お待ちいただく時間も結構あり、反省点が残ってしまいました。
ただ、何と昨日「明日も同じ内容ですか?」と聞かれた方が、この回にもお越しになり、新しい内容も楽しんでいただけたようです。そこは救われました。




ここでスタッフの一人からご提案をいただきました。この方、演劇のあらゆる部分に精通し、台本も書き、役者として舞台にも立てば裏方もこなすというすごい方で、風神雷神図屏風をステージに立てて、「夕陽の光のような照明を当てましょう」と言ってくださったのです。
早速会場のスポットライトの向きを調整し、屏風の反射具合を確認して、位置を決めます。





夜の部は30名なので、まず時間的には問題ありません。今回の流れでうまく機能できるかを確認するには、いい機会です。
「ではどうぞ、順々に前を通っていただいて、(風神雷神の)目と歯が光るポジションを探ってみて下さい」
皆さまゆっくり見ていただきながらもスムーズに鑑賞を終えて、席につかれました。
これでうまくいきそうです。





翌日の浜松会場は恐らく90名ほどのご参加だったと思います。
さあ、いよいよ風神雷神図を体験します。30名ほどのグループに分けて、流れるように鑑賞していただきます。
腰をかかめ歩きながら、風神と雷神が目を光らせる場所を探します。一方向の流れの中でポジションを探すので、最初の正面から近づいて一人一人ロウソクの灯りで光る目線を探すよりも効率的です。
「あった!」「怖い」という声があがります。ということは、皆さま、風神雷神のギラッとした表情を確認できた証拠です。





全員の鑑賞を終え、全てのお話ともう一つの鑑賞を終えて、予定終了時間の5分前。大成功です。
40名までが限界だった賞道が、100名まで対応できることが分かりました。これは非常に大きな成果です。
体文協の皆様、お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
また面白いコンテンツをお持ちして、うかがいますね。