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「檜図屏風」は、もともとふすま絵でした。その証拠に、よく見るとふすまの「引き手」の跡がみえます。つまり、ジグザクの姿をした檜の巨木は、本来ののびのびとした雄大な姿を現代に伝えてない状態だったのです。

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ジグザグがなくなったふすまの檜図。デジタル復元で、簡単にもとの姿に近づきました。
これだけでも横に伸びる枝の勢いが、かなりよみがえりました。
屏風で「窮屈な巨木」の鑑賞を強いられていたことが、お分かりいただけるでしょう。

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さらにデジタル復元で、当時の色にもどしました。
岩絵の具はいわば色のついた宝石です。くすんだ色ではなく、目に飛び込んでくるような、非常にビビットな色です。
この鮮烈な色彩で、巨木のエネルギーが、満ち満ちてきました。
デジタル復元で元の姿に戻していく……。「賞道」とは一見反対の位置にありそうな「デジタル復元」が、密接な関係にあるのはそのためです。
しかし、まだ不十分です。なぜなら、肝心の真ん中、大きな枝がうまくつながっていないからです。

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そこで、その間に柱を入れてみましょう。
どうでしょう。段になっていたところがうまくつながりました。そして、大きな枝が横へ、ぐぐーっと手を伸ばし、今完全に、大きな体を目いっぱい広げることができました。
これが、狩野永徳が描いた「檜図」です。

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さらに「賞道」は鑑賞を追求します。
柱が間にあったということは、それが、部屋をつくっていたことも考えられます。
もし、柱のところで90度曲がっていたとしたら…。
大枝が、手間に飛び出し、見る者に向かって迫ってくる姿が現れました。
当時は、このような立体感を味わっていたのです。

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最後、原寸大のレプリカを使って、畳の部屋にしつらえ、実際に作品に身をゆだねてみましょう。
角の前に座り、ゆっくりと見上げてみましょう。
あなたは、巨木に抱かれるような心地になるにちがいありません。
これが、狩野永徳が描いた檜図の世界です。

展覧会で、ジグザクに展示されていた当時(今も、四曲一双の屏風ですが、ジグザク展示は最近の修復以降なくなりました)、私たちは何も見えていなかったことが分かると思います。
「賞道」の面白さ、そして重要性、お分かりいただけましたでしょうか。