びっくり展開の講演、結果、大盛況でした

 9月19日に開かれた久しぶりの講演会のお題は「日月山水図屏風 ”循環”の神秘」、会場は、その至宝がある河内長野市の市民交流センターKICCSでした。 今回の大きな目的のひとつは、新しく制作したデジタル原色復元「日月山水図屏風」のお披露目でした。あれ、日月山水図なら、すでにあるはず、私は原色体験をもうしている、と思われる方も多いと思います。そうです、それはそれでありますが、前作はいわば大道具的なもの。今回は、卓越した美術印刷で知られているサンエムカラーの技術協力のもと、完全なる美術品として作成されました。なので、近くで見ても本当の絵のようで、しかも「カサネグラフィカ」という技術を駆使して、岩絵具のテクスチャーも再現、まるで本物のようなオーラをまとっています。

 前日、屏風を確認し梱包に立ち合いました。これで一安心。当日、サンエムカラー関係者が届けてくれることになっています。 コロナの影響による久しぶりの講演なので、わくわくの中にも緊張している私でした。でも、新作の復元「日月山水図」をご覧になれば、その作品の迫力で見る人を惹きつけられるに違いありません。

 さて翌日、会場に着いて、慌ただしく準備にかかります。パソコンをつないで、動作を確認し、そして屏風を荷解きして、まだ中身は見せたくないので、閉じたまま立てかけておきます。 でも開いた時に上下が反対ではいけません、中身を開いてみました。

「ええ!」

 背筋が凍りました。 全く違う絵が目の前にありました。頭が真っ白になりました。 後から分かったのですが、サンエムカラーから、同じタイミングで別の屏風も発送の手配がされ、どうやらそれと取り違えたようなのです。なんということでしょう…。

 もう到底間に合いません。腹をくくります。もう、自分の持っているありったけのサービス精神で、語り尽くすしかありません。 予定になかったエピソードを組み入れ、商売道具の美術年表を無料で配布、身振りも大きめに話し続けました。

 あっという間の90分。どっと疲れました。マスクもしてましたのでもう酸欠状態。長距離を走ってきた感じで、息が上がってました。
 その場での質疑応答では、誰もいなかったので、一生懸命が伝わらなかったか、と残念な気持ちになりましたが、終わってから何人か熱心に質問して下さる方がいて、確実に伝わっていたようでホッとしました。
 おおむね感想も好評のようでした。

 それで結局、屏風は後日約2週間、同じKICCSの3階ロビーに展示されることになり、かえってじっくりゆっくり鑑賞いただけることになりました。
 災い転じて福となす、とはこういうことかもしれません。

【新着】賞道、念願の京都で開催

 京都で「賞道」を開催することは、長年の夢でした。というのも、日本の伝統文化における中心地はやはり、京の都であり、「もともとの環境で鑑賞する」ことが重要である「賞道」にとって、日本中世の雰囲気を残している京の都で、復元アートを鑑賞することは重要、と思っていたからです。

 今回挑戦したのは、「鳥獣戯画 甲巻」。
 こうしてまったく新しい作品に挑戦したのは、実に久しぶりなことでした。
 4月から、コロナの影響で延期されていた「鳥獣戯画展」が、いよいよ東京国立博物館で開催されるのを前に、大いにその秘密に迫っていこう、というものです。

 もう一つ目的がありました。コロナ禍の中で、賞道を開催するために、場内での参加者を5名だけに制限、後の方々は、ツイキャス(課金制の動画配信サイト)で、ネット動画鑑賞をしていただく、と言ったような、新しい体制で開催し、その成果を確かめたかったのでした。

 来場していただいた方には、マスクはもちろん、入場の際に手を消毒して、そして座席は離して座っていただきました。
 そして、後ろからカメラ撮影、映像はzoomを通して東京へ送られ、東京・経堂の「さばのゆ」の須田さんに、事前にお渡ししている京都会場と同じスライドを話に合わせてミックスしていただきながら、ツイキャスで配信するという……
 いやぁ、すごい時代になりました!

 お話のポイントは、今の鳥獣戯画は、順番が間違っていたり、失われた場面があったり、違う話が紛れ込んでいたり、と、本当の姿を留めていないこと。
 さらに、話の長さは、今、甲巻として伝わっている長さの半分、つまり、甲巻はお話が二つ混ざっていて、それを分解すると、いわば「ショートフィルム」的な、いやもっと短い4コマ漫画風な感じなる、という解説をしました。

 来ていただいた方々には、私解釈の新構成「鳥獣戯画 甲巻1」をプレゼント。私の見立てでは、あと甲巻は、2と3もあると思います。
 今度はそれを作成して、「3部作」として、発表する場を設けたいと思っております。

 最後になりましたが、この会場は将来「西陣織アートミュージアム」へとなる、一室です。格天井や、数寄屋造りの屋根などもあって、なかなか素敵な構造をしているスペースです。
 私は、このスペースを運営する組織のコーディネートの仕事をしているのですが、この「西陣織アートミュージアム」につきましても、おいおいご説明したいと思っております。

奥河内音絵巻の圧巻

2018年に国宝に指定されたばかりの「日月山水図屏風」は、河内長野の天野山金剛寺に所蔵されています。私が、この屏風を取り上げ、復元したのは10年も前、まだ重要文化財のときでした。

WOWOW「美術のゲノム 五ノ巻 ~描かれた移ろう時の秘密~」(2011年)の収録風景

それからのご縁がなぜか続いて、昨年音楽家サキタハヂメさんと出会い、大きな展開を遂げます。
今年の 9月12日(土)、13日(日)に行われた「奥河内音絵巻2020」。私にとって実に刺激的な二日間でした。コロナの影響で、3密を避けなければならない悪条件を逆手にとって、とんでもない演出がなされていました。

まずは、密を避けるために、1回公演のお客様を100名様を50名様ずつの2組に分けます。
開演前にお集まりになったお客様が50名 (A組)になった段階で、サキタさんと私が登場、歓迎のご挨拶と日月山水図世界(私の復元した、キラキラ山水の世界)へ旅立つ前の楽しむアドバイスを丁々発止楽しく致しました。
それが終わると、A組は早速鑑賞の旅へ。そのころには後のB組も集まっていますので、もう一度サキタさんと私のご案内が始まります。

つまり、会場内の広さを配慮して、来場者を半分に分け、時間をずらして距離を保ちながら鑑賞していくというわけです。

そして、A組はまず小ホールに入ります。そこにはまず、”光の切り絵師”酒井敦美さんの手掛けた色彩世界が広がります。

まるで、昔話の世界に飛び込んだような空間が広がります。
そこで、ゆらめく水面の飛び込んだり、惚けて山並みを眺めたり…。そうなのです、これが日月山水図の楽しみ方なのです。

そしていよいよ大ホールへと進みます。
なんとこの「奥河内音絵2020」は、イベントホール全体をめぐる、体験型美術展になっているのです。自分の追い求めていた美術展が、こんな形で実現するとは、感激です。

お客様は、大ホールに入っている、という感覚はありません。というのも、暗い道を案内されて出てくるところは客席ではなく、舞台だからです。
そこには、同じく酒井さんの光の切り絵の世界、四季の豊かな色彩と美しい花々が咲き乱れています。

と、その時、サキタさんが指揮するオーケストラの音楽が突然鳴り響き、おもむろに舞台の幕が開き始めます。
登場するのは、観客席。
そこに大きな大きな影絵を投射するので、立体感が増幅され、また、天井も限りなく広く高くなっているので、太陽も月も、本当に眺めているような感覚になります。
(そのような中で、私のデジタル復元「日月山水図屏風」がシンボリックに使われています)

そしてフィナーレに向けて、松は踊り、大地は揺らぎ…。

https://www.youtube.com/watch?v=lP22NF7Kk88

そして、その神々しいお姿に、度肝を抜かれ…。
https://www.youtube.com/watch?v=SAmoDczbkw0&t=35s

ここでは、本当の迫力の100分の1も伝えられていませんが、実は、まだこの迫力を体験していただく機会があります。
今回のイベントが大好評につき、来年の1月16日(土)、17日(日)の二日間、なんと本物を所蔵する天野山金剛寺にて、「金剛寺音絵巻」と題してイベントが開催されます。

この記事を読んで、体感したい!と思った方、ぜひ、金剛寺へお越しください!

エンタメ性高し!

少し前のことになってしまいますが、MBS一階ロビーにありますちゃやまちプラザにて、「水曜トークショー」をして参りました。日ごろは真面目なお話をしておりますが(かと言って、時に笑いもある楽しい内容です)、今回は特に「日本美術はエンターテインメントになるか」を目標に、思いっきり楽しんでいただくことに集中しました。

会場の様子。ぺちゃくちゃとトークするので、くちびるのソファです。

内容は、山越阿弥陀図屏風と地獄草紙を組み合わせて、「極楽から地獄へ一気にめぐってみよう」というもの。でも実際は、初め地獄草紙を紹介して山越阿弥陀を鑑賞し、また地獄へ落ちていただくという、ジェットコースターでも味わえない急展開の90分なのでした。

そもそもこのトークショーにお誘い下さったのが、MBSのムラゲン(村田元)さんで、この時の聞き手もして下さいました。聞き手というよりも、もう漫才の相方ですね。なじみのない世界のお話なのに、ぐいぐい食い込んできて、巧みに来てる方へ分かるようなトスを上げる。で、そのボールを皆さんが気持ちよく受け取ろうとする寸前で、私がスパイクする。で、笑いが起こる。

左がムラゲンさん。ラジオのパーソナリティもやってしまう、MB Sの顔です。

見返り阿弥陀のお話をしているときに、とっさにタクシーの運転手が浮かんだのは、ムラゲンさんとのこのような丁々発止があったからこそ。あ〜、今思い出しても笑っていまいます。詳しい内容は、昨日MBSの水曜トークショーサイトhttps://www.mbs.jp/plaza/talkshow/index.shtml
にアップされました、「過去のトークショー配信」からどうぞ。

地獄は地獄草紙。最後に、地獄へ引き摺り込む仕掛けをご披露。

やはり日本美術はエンタメになり得ます。不完全な人間が、一所懸命やってできたものですから、そこには人情があったり、突っ込みどころあったりするわけです。干からびた残骸を大切に崇めていてばかりでは、作品は語ってきてくれません。作品に宿る人間味を、これからも掘り起こして、皆さまに紹介して参ります。

おお、阿弥陀さまが、やってくる!

もう次回の企画も始動します。内容は、まだ内緒です。でも、面白くないわけがない!季節ごとにできるといいですね、どうぞお楽しみに。

笑い声の絶えない会場。ライブでもあり、サロンでもあり。

子供も楽しめる日本美術

賞道の可能性のひとつとして、子供への美術教育の新しいスタイルを提供できることが挙げられます。その部分に特化したものとして、分かりやすいタイトル「国宝をべたべたさわろう!」として、昨年から展開してきました。(このタイトルは、それ以前から使ってましたが)

第2回目の「国宝をべたべたさわろう!」は、中央区立泰明小学校にて行われました。銀座にあるとても有名な小学校で、100組近い小学生と親のご参加と、子供スタッフ20名、大学生のアルバイト、そしてもちろん私とキッズMのメンバーで、総勢200名を近い人数が会場の体育館に来場し、大いに賑わいました。

しっかし、この風景はすごい。銀座にある泰明小学校、講堂のそで裏にある物置部屋から。でも、一歩校庭に入るとそこは確かに小学校。でも、見上げると大都会。でもでも…。そこには空間の歪みがあって、くらくらします。

当日は、NHKと産経新聞からの取材、そして中央区区議会議員の佐藤先生もお越しになり、賞道の注目度が上がっていることを確信しました。中央区教育委員会に後援していただくこと自体が、その可能性について、何か実感を持って伝わっていっている手応えがあります。やはり、賞道には、何かあります。

NHKは実は海外放送向けのコンテンツとして配信されました。
以下のURLで英語ではありますが、後ろから日本語が聞こえますので、だいたいの内容はお分かりいただけるかと思います。
(1か月くらいの範囲でご覧いただけるそうです)
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/videos/20191206180552314/

今回は各作品の鑑賞を子供スタッフにお願いして、私はバックアップに努めました。最初はうまくいくか心配でしたが、最高でした。親子、というのがポイントでした。というのも、多少たどたどしい説明も、子を持つ親は応援の気持ちもあって、真剣にかつ暖かく見守ってくれたのです。これはやってみないと分からないことでした。

もちろんこのコンテンツ自体が、子供から大人まで楽しめるということがあってのこと。紙や絹や劣化しやすい素材の多い日本美術は、海外比べて触れて楽しむ鑑賞「ハンズオン展示」が立ち遅れていることが問題になってますが、正にその解答を示す「賞道」、その有効性とエンタメ性を確認する絶好の機会となりました。

八幡、博多、大盛況でした

毎年恒例になりました八幡(北九州)と博多での「知れば知るほど面白い 日本美術の秘密」は、このタイトルを掲げて4回目を迎えました。題材は、二年前からその体感が話題になって、奈良でも好評を博した「高松塚古墳壁画」です。令和の時代を迎え万葉の時代が注目されておりますが、正にその文化そのものの飛鳥美人ですから、グッドタイミングなのです。

今回は、私の個人的な感想として、面白いことがありました。八幡と博多で逆転現象が起こっていたのです。

今回のチラシ、ポスターのデザイン。いつもかっこよくしていただいて感激です。

初めは「賞道ってなに?小林ってだれ?」ということで、思いっきり疑心と不安しかなかったところで、八幡の方々はそれこそ私にも作品にも恐る恐るという感じでした。一方博多では、そこは観山荘というブランドとお酒もいただきながらの極上のお食事付きですから、距離感が違うのです。

なので、初回の印象は八幡が「ちょっと戸惑い」があって、博多は「気持ちよく知的好奇心が満たされた」感があったのでした。

今回も八幡の会場は永明寺。やっぱり荘厳な雰囲気と日本美術はマッチします。(今回は単なる黒い大きな箱ですけど…)

で、今回はどうだったか。4回ともなると、私がどんな語り口でどんな世界に誘うか知ってますから、来る方も準備ができています。八幡の方々は、私がちょっとややこしい話をしても、その雰囲気を楽しんで下さいます。なので今回は万葉集の歌も持ち出して、多重的に飛鳥時代を楽しんでいただきました。初回の戸惑いから、4回目にして自分から積極的に賞道の世界に入ってくるようになって下さいました。

こんな感じで、リラックスした雰囲気で楽しんでもらえる環境が整ってきました。

一方の博多は観山荘で豪華なお食事も大いに楽しんでいただきますし、今回は作品にお一人お一人横になって体感していただきますから、なかなか多重的に深いお話する時間がございません。そこで、お食事中に皆さんが入れ替わり立ち替わりいらして、古墳体験をしていただくときに、それぞれに軽いエピソードを繰り返しお話しして雰囲気を楽しんで頂くことに徹底しました。

どうですか、この雰囲気。これで美味しいお料理をいただくわけですから、お勉強とはなりません。

初めはどちらかというと、伝えることをシンプルにしていたのが八幡の方だったのですが、今回は、博多の方がシンプルになってきた、ということなのでした。もちろん伝えるポイントは、どちらも外しません。どちらも楽しい「賞道」です。伝える側も臨機応変な対応が求められる、だから「道」なのですなぁ。

いつも体感していただく時は、「いってらっしゃ〜い!」と送り出します。

奈良の賞道は、やはり深い。

約1年ぶりに奈良にて、「賞道のすすめ」を開催しました。
会場は、猿沢の池からほど近いホテルサンルート奈良です。こちらには、社長の中野さんをはじめ、スタッフの皆様に本当にお世話になって、お陰様で充実した内容となりました。
いらした方、ホテルの皆様、改めて御礼を申し上げます。

会場のホテルサンルート奈良

今回のお宝は「年中行事絵巻 祇園御霊会」。いわば「テッパン絵巻物」です。
例のごとく、みな様にくるくるしていただこうというわけですが、ここは奈良の地でやりますので、どうせなら一工夫してみたいということで、「祇園御霊会(今の祇園祭)」と奈良の春日大社で12月に行われる春日若宮の「おん祭り」を比較しながら、お話を進めてみました。

この二つの祭りと「祇園御霊会」の関係性って、とても面白いのです。
まずは9世紀にはじまったのは祇園御霊会の方でした。そして、12世紀におん祭りが始まるのですが、それとほぼ同時期に「年中行事絵巻 祇園御霊会」が描かれています。

絵巻物に描かれる祭りの様子は、今の祇園祭の姿とは異なっています。というのも、今のような山鉾の大きな山車が街を巡行するようになるのは室町時代からとされ、「年中行事絵巻 祇園御霊会」には山車が登場しない「祭りの原型」が残されているのです。
そしてさらに注目するべきことは、その様子が、今のおん祭りとそっくりなのです。

デジタル復元した「年中行事絵巻 祇園御霊会」

デジタル復元した「年中行事絵巻 祇園御霊会」には、祇園社(今の八坂神社)から祭神を神輿にお乗せして、御旅所までお連れする行列が描かれています。その行列には、田楽、巫女、散手(雅楽)、獅子舞と続き、最後に神輿が登場するという順序になっています。
これをくるくる手で繰り出すと、目の前を行列が通り過ぎていく、観客の目線になるしかけなっていて、その目線を楽しむことがこの作品の醍醐味です。

「おん祭り」も実は、お渡り式という、祭神を御旅所でおもてなしをする者たちが行列をなして行進する儀式があり、それが絵巻物そっくりなのです。つまり、絵巻物の世界が、現実に飛び出したように目の前で展開されるのですから、私はなんとも不思議な感覚になりました。

例えば田楽。太鼓の模様から高足に至るまでそっくり

「おん祭り」は始まった当初から現代に至るまで途絶えることなく続けられているという話ですが、さすがこの900年の間に、変化というものがあるだろうと想像していました。しかし、図らずも変わらずにしっかりと伝えられているということを別の祭りの絵巻物が証明していることに、驚きを感じます。

さらに驚いたこと、発見がございました。今回、本当に「おん祭り」と比較して本当によかったと思いました。
というのも、下の図、田楽の次に登場するこの騎馬の男たちのことを、私はずっと行列を警備する者たちと思っていたのです。しかし、それはおそらく競馬をする者たちであろうことが分かったのです。

実はおん祭りのお渡り式の行列の中に、同じような格好をした騎馬の男たちが登場し、それが競馬の競技者たちだったことから気づきました。

ホームページ「奈良大和路~悠~遊~」より
http://pinbokejun.blog93.fc2.com/blog-entry-611.html

私は不思議でならなかったのです。
田楽、巫女、獅子舞と演目が続く中、なぜ突然、芸能に関係ない警備が登場するのだろう、と思っていました。でも、この騎馬の男たちも演目のひとつであることが分かり、すっきりしました。

ということは、彼らが着ている装束は統一している可能性は低く、色を変えなければならないことが分かりました。
こういう宿題はむしろ大歓迎です。

奈良で開く賞道では、歴史の深さが導く大きな驚きと発見があります。
本当に、導かれている感覚がするのです。

当日、毎日放送の「ちちんぷいぷい」の取材がございました。賞道の面白さ、驚きをお話ししましたのでOAを見ていただければと思います。
今のところ、恐らく9月12日(木)13:55~の放送かと思います。
よろしかったら、ご覧ください。

次回の9月21日(土)~23日(祝)3日連続で同じくホテルサンルート奈良にて開催されます、「賞道のすすめ 高松塚古墳」の告知も番組ではあるかと思います。
あわせてご覧いただき、よろしかったら「飛鳥美人と視線を交わす異空間」を体感しにぜひお越しくださいませ。

子供たち向け賞道、大にぎわいでした。

葉桜もなかなかの風情もある京橋築地小学校にて、小学生向け賞道「国宝をべたべたさわろう!」を開催しました。
子供たちの元気もあいまって、なんとも春らしい一日になりました。

何といっても全体で150名様をゆうに超えるご来場。
私も男の子二人の親ですから、ご父兄の方々がどんなに目を見張っていても、どんなに騒ぎになるか、と望ましくない想像もして覚悟していました。

でも、ふたを開けてみると、そんな心配は杞憂でした。
みんな阿修羅の本当の姿にびっくりしてくれましたし、高松塚古墳は「秘密基地みたい」とはしゃいでくれようです。もちろん、風神雷神でもLEDローソクで表情の変わる様を目の当たりにして、びっくり。

私が担当した絵巻物も「ウォーリーをさがせ」的に、「この人さがして!」「それでは次はこの人!」と問題を出して楽しみながら、自然と絵巻物をくるくるする操作を覚えてもらいました。

どうででょう。美術の技法や作者や歴史さえもしらない子供たちが、こんなに熱中するのです。いかに今の日本美術が誤解されているか分かるでしょう。
大人たちが美術館でガラス越しに煌々と照らされている日本美術を、解説プレートを見比べて鑑賞することに、限界があるのはあきらかです。

日本美術が好きで、歴史も知っていて楽しんでいる方には申しません。
でも、日本美術がそれほど好きでもなく、ブームにのっかって美術館行ったもののなんかもの足りなさを感じている人は多いはず。そんな人のためにこそ「賞道」はあるのです。

「昔、高松塚古墳の近くに住んでいたのですが、こんな鑑賞ができるなんて思いませんでした。目からウロコでした」
と言って、感動を伝えて下さった方もいらっしゃいました。子供以上に大人の方も楽しんでいただいたようです。

あ、子供優先なのでご父兄からは料金を頂戴してなかった(;^_^A

穴太衆石垣と醍醐の花見ツアー

昨年の夏、静岡体育文化協会(体文協)の社会人大学に呼んでいただき、静岡県下三か所をめぐって「賞道」を体験していただきました。実は、同じ昨年度の社会人大学の6月は、穴太衆石工頭の粟田さんが御登壇され、穴太衆も石垣も興味があった私は、お話を聞きに行ったのでした。


https://blogs.yahoo.co.jp/dqwfc557/33589543.html
そのときの記事は「方丈記的ブログ」に記載しております。
(ヤフーブログはなくなるそうで、5月以降アメーバブログに移行します)

その粟田さんが春の体文協一泊バスツアーで、地元の琵琶湖のほとり坂本を案内して下さるというので、参加したいと申し出たところ、体文協の佐野さんから「でしたら、小林さん、翌日お話して下さいませんか」とお勧めいただいたので、こんな私でしたら、ということでお引き受けしたのでした。

やっぱり面白かった、というか、もうとても粟田さんには敵いません。(別に競っているわけではありませんが…)その生きざまとか、気合とか、語らずに感じさせるオーラとか、私になくて私が憧れるものをたくさんお持ちの方です。

今回もちょっとしたお話で、気になることをおっしゃいました。その言葉の前に、文化財に指定されている石垣を修復する場合は、ひとつひとつの石に番号をつけ、墨で十文字の印をつけて水平垂直の記録もつけて解体し、戻すときは元あった通り番号順に、そして水平垂直も合わせて直さないといけないのだそうです。

穴太衆石工頭の粟田さん。頭上の大石が出っ張っていますが、今年修繕するそうです。すぐにはくずれはしないけど、とおっしゃってました。

そこで疑問が出てきました。
きっちり元通りに戻すのと、自由に新規に積んでいくのと、どちらが作業的に大変なんでしょう。
「きっちり元通りに戻す方が、楽です。だから、若いのが育たないんです」
これなんです、ぽっ、と簡単に色々な内容を含んだ言い方をするんです。

今は文化庁などからの修復の仕事がほとんどで、その行政は、現状維持を一番大切にするあまりに、そのまま戻せといいます。それは一見正しいのですが、石工にとっては「考えて、感じて積む」修行ができないのです。
つまり、文化財を後世に残すことはできても、文化そのものを残していることにはなりません。これは小さくない問題だと思いました。
でも、こんなことが色んな職人の世界にきっとあるのだと思います。

話は変ります。
その日最初に行った西教寺。来年の大河ドラマは「明智光秀」が主人公だそうですね。一族の菩提寺である西教寺では早々に飾り付けが。
しかし私が注目したかったのは、客殿です。これ、伏見城から移築したそうで、色々な間の装飾を狩野派が手掛けています。鶴の間や賢人の間、帝鑑図のある上座の間など、賞道的には中に入って鑑賞したかったのですが、なんとのぞき穴から見るという、残念な状態。これでは何も伝わりません。

その素晴らしさを伝えられるようにできていない客殿。私の地道な戦いは続きます。

翌日は、私の担当です。私は粟田さんと反対に、話してみな様を盛り上げるしか術がございません。まずは醍醐寺に行き、色々とご案内…なのですが、肝心の桜は蕾がほとんど。ですが、だからスムーズに見学ができるというものです。
一分咲きくらいでも花開いているものもあったので、それなりに鑑賞できたのではないでしょうか。

昨年夏の台風で、かなり被害の大きかった醍醐寺。
それでもけなげに咲く桜に感動ひとしお。

さてそのあとは、長岡京までいき筍懐石で有名な「錦水亭」にて講演です。(もちろん、筍料理に舌鼓を打った後に)

みなさんよく歩いてよく食べた後なのに、元気いっぱい!
私も調子に乗っていろいろと冗談交じりにお話ししたら、どっかんどっかん受けますので、本当にいい気分になってしまいました。でも、これが怖いんですよねえ。気をつけないと。
そんな盛り上がった現場の動画が、you tubeにアップされました。

どうでしょう。楽しそうでしょう?
実際、楽しかったのです。静岡の方々は、楽しむのがお上手です。

そして、お気持ちが本当にあったかい。
東京のアトリエに戻ってみたら、一枚の絵手紙が送られてきていました。
屏風の送付や、実は実現するまでに色々と苦労があったのですが、ホントやってよかったと思いました。喜んでいただくことがモチベーション、ってイチローも言ってるくらいですから。

賞道のこころ、テスト版

あまりにばたばたして、1ヶ月前のこともなかなかアップできませんでした。

去年は「賞道のいろは」などはやっておりましたが、「賞道のすすめ」はお休みして、クラウドファンディングを挑戦してみたり、関西での活動を展開したりしておりました。

「賞道のすすめ」を控えていたのはあともう一つ理由がありました。どうしてもこのタイミングで、「賞道」というものをもっと深く捉え、完成とまでは行かないまでも、もうちょっと考え方というか生活態度として体系化したいと思っていたからです。
それを私は「賞道のこころ」として4回シリーズとしてまとめ、ちょっとテスト版を実施しておりました。

いわば、賞道の上級編です。なので「賞道のすすめ」を受講いただき、賞道がなんであるかが分かっている方、その後私と親しくしてただいて、賞道を支えて下さっている方々にモニターになっていただきました。このシリーズは、基本私の話だけなので、賞道に共鳴していただいている方でないと、怖かった面もあります…。

反省点も多いですが、成果は非常にあったと思います。手応えがありました。
やってみて、この「賞道のこころ」は大学でいう一般教養だな、ということでした。(これも、モニターからのご意見です)
これを受けた上で、あなたは賞道の何を専攻しますか?ということになりそうです。

1.「色即是空の”色”」色、宇宙観(個の広さの認識)
2.「外の移ろい 内の移ろい」無常、風化(個の深さの認識)
3. 「月陰の民の役割」二重構造、階層(個と外との認識)
4. 「言語としての日本美術」表徴、見立て(外へのはたらきかけ)
どうでしょう、この内容。
分からないですよね、これだけでは。
でもこれを受けていただくと、日本美術が、現在解釈されている美術とは全く違う機能で、各時代を彩っていたことが分かると思います。

もっとブラッシュアップして、近々、本格的に始動したいと思います。
「賞道のすすめ」を受講されたかたを中心にご案内をいたしますので、もしもっと賞道を知りたい方は、参加してみて下さいね。
よろしくお願い致します。