こどもにはこどもの賞道

こどもにはこどもの賞道

こどもの時から大人の社会に向けて発信し、その可能性を伸ばそうと活動を展開する「キッズM」さんは、主婦目線に立って毎回企画を立てています。
今回そのお眼鏡に適ったと申していいのでしょうか、あるいは伝承プロジェクトでお世話になっているiDenさんが上手く勧めて下さったのでしょう、夏休みに展開する重大なプロジェクトに、私を選んでくださいました。





「プロといっしょにミュージアムをつくる仕事をしよう!」と題したプログラム。
作品を作って、展示して、お客様に見ていただこう、という一連の流れを体感してもらいます。
と言って普通通りにやっても、それでは私がやる意味はありませんし、面白くもありません。
ここは、「賞道」をちょこっと体感してもらいます。





まずは、酷暑の中、ちょっとだけ涼んでもらうために、ぞぞぞ!となる「地獄草紙」を体感してもらいます・・・
あれ、さっきまで元気よく話していた子が、「怖い!」と言って、画面を見ません。
それでもいいんです。無理に見て、トラウマになってはいけません。(;^_^A




「怖かったら、見なくてもいいですよ~♪ 手だけ動かして下さい」




とにかく触ってもらうことが目的なのです。日本美術は、触ってこそ、それを体感してもらうことから始まります。
そんなことを言いながら、きゃっきゃと早くもにぎやかです。




「ね、日本美術は触って楽しむ『道具』でした。それをもっと体感してもらいます。それでは2階に上がりましょう!」




2階に上がって待っていたのは、高さ1.5m、幅3.5mある屏風が二隻。ドドーンと結構な迫力です。





もうそれだけで、こどもたちはテンションが上がります。
私が春、夏、秋、冬、と屏風の間をぐるぐるとめぐり始めると、いつしか、ついてきたこどもたちが走り始め、鬼ごっこが始まりました。





そうなると私も男の子ふたりいる父親です、厳しく叱りつける・・・のではなく、いっしょになって追いかけます!
「こら~! まて~!!」
もう、ドタドタ、キャーキャーの大騒ぎ!
下の階で待っていたお父さん、お母さんは何事かと、驚いていたそうです。(でも、それが高評価につながりました)




屏風の後ろに隠れたり、出るときにはドアのように開いたり。
もうこどもたちは、屏風を道具として器用に使いこなしています。つまりは「遊び道具」として。すごいですね!
きっと屏風たちも喜んでいることでしょう。




さて、一連のプチ賞道の体験が終わって、いよいよ作品の計画を立ててもらいます。
私が出した条件は一つだけ。
「触れる作品を作ってください」





早速作業に入るこどもたち。
それぞれの感性で、どんどんと面白いものを考え出していきます。
いや~、本当に完成が楽しみです。





こどもたちが作業をしている間は、キッズMさんが対応してくださいますから、その間に、お越しいただいたお父さん、お母さんにも屏風体験をしていただきました。
これができて、本当によかった。
ああ、日本美術って面白いな、って親も分かってくれたら、こどもにどんどん勧めたくなりますものね。




アンケートで、私のこどもに対する接し方に高い評価をいただきました。
それが何よりもうれしい。
こどもにはこどもの賞道、やはり狙い通り、素晴らしい効果がありそうです。


これからの夏休みの間に計画した作品を実際に作り、8月後半の土日の「展示会」へと進みます。