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色々なことが要因で、なかなか完了にならなかったクラウドファンディング、レディ―フォーで達成した「幻の屏風を復元!『醍醐の花見』を体感してほしい」プロジェクト、いよいよ最後の仕上げ鑑賞会まで漕ぎつけました。




なんと長い道のりだったことでしょう。
プロジェクトは3月31日に達成し、最初の計画では5月に完成、花見には間に合わないけども、貴婦人の打掛文様にある藤の季節には間に合うようなイメージでした。





ところが、もともと使用する予定だったイベントがなぜか自然消滅してしまい、制作費が足りなくってしまいました。
このプロジェクトは、もともとあったイベント事業から出る制作費の不足分を補てんするためのプロジェクトだったのです。




なので、まずはレディ―フォーに事情を申し上げて完了予定日を9月末に変更、制作費が足りないので、他の仕事を進めながらそのすき間で復元作業を続けてきたのでした。
では、9月末からさらになぜ延期になってしまったのか。それは、大阪鑑賞会のご報告のときに譲りましょう。





話は戻りまして、東京鑑賞会のご報告です。
会場は文京区小石川にあります「小石川大正住宅」です。関東大震災、東京大空襲、東日本大震災を乗り越えた奇跡の館で、その名の通り大正時代に建てられ、一昨年にリノベーションを経て、レンタルスペースとして再出発しました。
下見に伺ったときに「屏風を飾るならここだ!」と思って、即決でした。





唯一の弱点は、柱が細いため家に上がれるのが10名ほどだけということでした。
東京鑑賞会にご参加いただく方(プロジェクトで「鑑賞会チケット」を買っていただいて、関東にお住まいの方)が20名ほどいらしゃったので、12月2日(土)と3日(日)の2日に亘って開催いたしました。




プロジェクト概要でご説明しておりますが、この花下遊楽図屏風とのお付き合いはおよそ25年にもなります。
まずは、関東大震災のときに失われてしまった右隻の中央二扇を復元することから始まりました。大正時代ですから白黒写真はありました。それをカラーにしていくわけです。





出来上がった画像は、当時、非常に評判になりました。そして私はデジタル復元師として歩き始めるわけです。
現在に至るまでに、主人公である貴婦人の打掛を実際に復元してみたりして、この屏風との関わりはずっと続いてきました。(今回は、その打掛も含めて鑑賞します)
そんな間に、私は「賞道」という、制作された当時の色に再現した美術品を、当時と同じ環境で鑑賞する手法を確立して自分の道を定めたわけですが、そのとき、はた、と気づいたのです。





「あれ、花下遊楽図の制作された当時の色を復元していない!」




長くかかわってきた原点の作品でありながら、実は「賞道的に」鑑賞することなくここまで来てしまいました。
なので、今回の鑑賞は、いわば私の夢だったのです。




などともったいぶりながら解説をしてから、いよいよお披露目です。
一度皆様には移動していただいて、表が見えないように屏風をそろりそろりと開いていきます……。
そこへ、まだ絵を見ないように背中を向けたままもとの位置に戻って、心の準備をしていただきます。





「はい、どうぞ!」




「うわ~!」
「おお~!」




いつもよりも大きな歓声ともどよめきともつかない声が部屋を満たします。
今回は原寸大ですし、解像度もばっちりです。なので、全体でも迫力ありますし、近づいても一筆一筆の筆致が分かります。改めて自分でみても、これはなかなかの出来です。
そして、座って鑑賞。描かれた人々と視線がちょうどよくなるので、やはり座って鑑賞するように描かれているのが分かります。





恒例の和ろうそくでの鑑賞へと移ります。今回、賞道の趣旨に賛同いただいて、特別にご許可いただきました。
揺らめく温かい灯りの中で、人々が次第に浮かび上がってまいります。
今回気づいたのは、下からの柔らかい灯りによって、貴婦人の顔が妖艶に見えたことです。上からの光で真っ白な無表情だったとき隠されていた秘めたる感情が、ついに表出したかのようです。





最後、ご用意した着物、主人公の貴婦人が着ている着物を復元したものを羽織っていただき、貴婦人とのツーショット。
まるで、絵から飛び出したようで、夢か現か、お酒も飲んでいないのに、ふわふわと不思議な感覚に酔いしれてしまいました。やはり、光と色のマジックは、やってみないと分かりません。
この道は本当に奥が深いです。




いよいよ12月10日は大阪鑑賞会。
これで本当の本当、長い長いプロジェクトが終了になります。
最後まで、気を引き締めて頑張ります。