桜友会の月例会でお話しました。

桜友会の月例会でお話しました。

桜友会の月例会にて講演をして参りました。
…と言ってもピンと来る方は少ないかもしれませんね。桜友会は、学習院大学のOBOG会です。




出身校からご指名をいただいてお話をさせていただくことは本当に名誉なことです。お世話になったご恩を、こういう形で少しでもお返しすることができるなんて、そんな機会に恵まれることはめったにありません。
あ、でも、出身の小学校で講演をさせていただいたこともありました。あのときも感慨ひとしおでした。




やっぱり学習院って特殊です。私は大学だけですので本当に一般人なのですが、在学当時から、何かスペシャルな方々がはやりいらっしゃって、なんとも言えないオーラがありました。(そういう方の多くは幼稚園か初等科から上がられています)それは、他の大学にはない雰囲気だと思います。
「ごきげんよう」を「What’s up?」的に使っても違和感のないキャンパスは目白にしかありません。





講演させていただいた「霞会館」は霞が関ビルの34階にあります。
運営している団体は、もともとは華族だったということで、それを知るだけでも身体が固くなります。いらしている方々は、もう身なりからして違います。特にご婦人方。

「ごきげんよう」

おお、懐かしいフレーズ。
私と私の親の世代とちょうど中間の方々、というイメージでしょうか、上品さをそのままに、でもエネルギッシュに歳を重ねられて皆様魅力的です。「身分」ということをまったく物差しにしない私ですが、その「分」という重いものを背負いながら、毅然と歩む人には敬意を感じます。
私の同窓生を誘ってもいいという話でしたが、中学、高校の友人とは多くやりとりしているのに、大学時代の友人とはやりとりがない。それも不思議です。
きっと、私には「分」というものが曖昧過ぎて、周りの人たちもとっつきにくかったのかもしれません。




この会では、講演の前にお食事を頂きます。それがよかった。
何となく緊張のとれない私は、ちょっとお腹を満たして、お酒をいただいたお陰で、普段の私に戻れました。





始めればいつものペースです。
皇子のお墓とされる「高松塚古墳」のお話を、「歴史秘話ヒストリア」での発見などを交えてお話を始めました。





その次は「年中行事絵巻 祇園御霊会」で絵巻物のご紹介。
実際に絵巻物を所有してそうな方々を前に、まあ絵巻物の鑑賞法をよく説明したものです。でも、デジタル復元はどんな方でも経験ないですから、原色で鑑賞する重要性を説きながら気合で押し切りました。
そして陰影礼賛のすばらしさが「賞道」の重要な点ですから、それを蝋燭の灯りに照らして鑑賞する「風神雷神図」でご紹介。





ミニチュアをお持ちして、それぞれを体感していただきました。
「ここから見る風神の顔は、普段見せない表情ですよ」
と言って、覗いでもらうと

「あ~」
「おお~」

とどよめきです。
やはり理屈ではありませんね。





「ほら、左の貴婦人と視線が合いますでしょ?」
「へえ~」

これです。
どよめきや驚きの声は、どんな方も同じですね。

「普段は眠くなることがあるお話もありますが、今回は面白くそのまま最後まで楽しめました」
というお言葉は本当にうれしい。お腹が満たされ、お酒も入った中で最後まで楽しませることができたなら、それはディナーショー並みではないですか。
…なんて。

すでに「賞道に行きます」という方も数名いらっしゃり、メッセージは確実に届けられたようです。
本当に光栄です。
でもこのメッセージは私ではなく、私の体を借りてしゃべる古の絵師たちなんですよね。彼らにつきあうのはホント大変です。