色あせた日本美術や白黒写真画像&映像をキレイにしたり、加工したり、カラー化したり。レタッチ技術で、ライフスタイルをもっと楽しく、美しく。

8月30日の夕べの第二回目の秋季「賞道のすすめ」、台風で開催が危ぶまれる中、どうにか大雨は通り過ぎて開催にこぎつけることができました。
スタッフは気をもんでいました。というのも、この日のための準備がなかなか大変だったからです。何といっても用意していた蓮の葉が無駄になるはどうしても避けたい。この日に使わないと傷んでしまう生の葉です。しかも、季節的にはぎりぎり最後で、もう追加で発注することも難しい……。


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なので、予定通りできて皆様に喜んでいただけたときは、本当にホッとしました。
蓮の葉は、「象鼻酒(ぞうびしゅ)」で使用します。今季の「賞道のすすめ」は実際の美術のお話の前に、軽い食事とお酒を楽しんでいただいております。
蓮の葉を上に向け、つながっている茎の端を口にくわえます。あらかじめ蓮の葉の真ん中に数か所小さな穴をあけ、そこに日本酒をとろとろと注ぎます。
結構思いっきり吸わないと、お酒が口に入ってきません。その分、酔いが回る?ほんのり青い香りもありました。


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いい感じで和やかな雰囲気で、ワークショップ開始です。
今回は、「年中行事絵巻」です。中でも「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」をデジタル復元しましたので、楽しんでいただきます。
「絵巻物は、すぐにその世界に入れるように、冒頭に工夫を凝らしています」
と言いながら、絵巻物を触って繰り出すと、目に入るのは田楽の踊り手たち。輪の中にいる一人が、ポーンと鼓を高く高く放り上げています。
この絵巻物のスイッチはこの鼓です。これで人々は一気に、絵巻の中に入り込みます。


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そして、周りを囲む田楽師の持っている面白い形の楽器に注目します。
このアーチ形の楽器、「びんざさら」といいいます。
で実際の楽器をご用意いたしました。これを触って、鳴らしていただくのも、賞道の醍醐味です。
最初はくねくねしてしまっていた方も、じきに「ジャッ!ジャッ!」という音を出せるようになっていました。


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絵巻物を繰り出していくと、お祭りの行進がどんどん展開していきます。
田楽のあとには着飾った警備の騎馬隊が登場するのですが、先頭がいきなり落馬!
あまりのことに周りの民衆もびっくり。そしてさらに鑑賞者は、その世界に引き込まれるのです。
落馬する人や周りの驚く人々の、生き生きとした動きと表情は、今のマンガそっくりです。


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もうお判りでしょう、絵巻物を実際に手で触れて操作してみないといけない理由。
そうです、手で繰り出して画面を展開するごとに、何か事件が起こり、展開し、そして初めて私たちはその絵の中に入り込めるのです。
反対に、絵師はその効果を狙って、工夫に工夫を重ねて絵を描いていました。


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絵巻物を操作する楽しさ。
これはデジタル復元で色をもとのビビッドな色彩に戻し、プリントアウトしてくるくる丸めれば絵巻物ができてしまう、現代だからこそできるのです。
平安時代、天皇やその周辺の貴族しか楽しめなかった、絵巻物の世界をこうして楽しめるなんて、なんという贅沢でしょう。


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と同時に、現代が豊かになって色々なメディアでエンターテイメントが花開いている現代ですが、いやいや、平安時代も結構エンターテイメント楽しんでいた、むしろより深くこちらから積極的に関わりながら味わい尽くしていた、と言えるかもしれません。
物質的に豊かだからといって、それだけ幸せかどうか。
その疑問に対しては、どうしても私は平安時代の人々の側に立ってしまうのです。


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今季のお茶は、お帰りになった後の睡眠を妨げないよう、カフェインなどが抑えられたお茶を提供しています。
そして添えられたお菓子は、ちご餅。
祇園祭にちなんだお菓子で、絵巻物にあわせて。三本入りは祇園祭の粽(ちまき)の包装になっていて、京都らしさを感じさせます。
粽は、表玄関の軒先などに吊るします。素戔嗚尊の災厄を避けるように、ということになっていますが、本当はもっと深い話があります……


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と言っても、ここでは書ききれませんから、またいつか賞道まで聞きにいらしてください。
あ、絶版になりましたが、PHP新書「後白河上皇」には、詳しく書いておりますので、よろしかったら、どうぞ。

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