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先月5月の12日は、中央区築地社会福祉会館にて、第2回目の「国宝鑑賞ワークショップ」でした。
1ヶ月も前の話題ですが、第3回目(最終回)が近づいているので、そのことも含めてお話しします。

第2回目のテーマは「桃山時代」。
この時代も面白い。今「真田丸」が正にこの時代ですから、皆さんも好きかもしれませんね。
私が具体的に関わりを持ったのは、国宝「花下遊楽図屏風」(狩野長信作)の復元からです。実は、デジタル復元を初めて手がけたのはこの作品でした。なので、もうこの作品とは20年以上の付き合いです。
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失われていたのは、貴婦人の部分。関東大震災の時、その部分だけ修理をしていて美術館になく、惨禍に巻き込まれてしまいました……。
このまま話したいのは山々ですが、今回の話から逸れますので、どう復元したかは、またの機会に譲りましょう。
で、今回のワークショップのポイントの一つが、その貴婦人が着ていたという着物。
絵画で復元した豪奢な着物が、実際はどうだったのか。屏風の復元だけでなく、貴婦人が着ていた着物までこだわったために、私のこの作品との付き合いが長くなってしまいました。

ではなぜそこまでこだわってしまったのでしょう。

実はこの貴婦人、淀殿という説があるからです。
そう、非情なる運命に翻弄されながらもしたたかに耐え抜き、あの秀吉を手玉に取った淀殿。
世の富を手にした彼女が、どんな服に身を包み、威厳を示していたのか、実際に体感してみたくなったのです。

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この実験は成功したと思っています。
というのも、この着物を羽織って、横からの光を当てた(当時は上からの照明がなく、外光が部屋の中へさしこんでいた)とき、そこには確かに淀がいたのです。
真っ赤な着物が顔に映え、着ている女性は顔が紅潮してエネルギーがみなぎります。そして、刺繍の金糸もキラキラと顔に当たり、ラメのように豪華に輝くのです。

そのとき様子を少しでも作ってみたくて、参加者に寸劇をしていただきました。
淀に扮した女性が言います。
「誰かおる?」
すると、男性が進み出て、
「御前に候」
とこたえます。

ただこれだけです。
ただこれだけですが、その時代の空気になるから不思議です。
実は、男性の方に演技をつけたのは、ゲストの能楽師・中村昌弘さん。なので、きりっとした発声で場がしまったのに違いありません。

そして、このワークショップのポイントの二つ目が、その時代の音を堪能すること。
秀吉は金春流の能を大切にしたことから、金春流の中村さんにご登場いただき、その謡(うたい)をご披露いただきました。
凛とした響き。
着物もその響きに応じて、煌めいているように見えました。

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せっかくですから、中村さんにショートショート能講座をしていただきました。
面のつけ方外し方。これだけでも貴重な体験です。
もう、寸劇もやりましたから、このころには、皆さん体験したい気持ちがうずうずして、率先して「やりたい!」と手を上げていらっしゃいました。
これなんです。
このワイワイな感じで楽しむのが、新しい日本美術鑑賞法「賞道」流。

次回も大いに盛り上がりましょう、という形で結びたかったのてすが、定員30名のところナントはるかに超える応募数が殺到し、結局倍の60名の皆様にご参加いただくことになっております……というほどの盛り上がり!

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次回は「平安時代」をとことん体感します。
真ん中にいらっしゃる大峯香風さんに琵琶を奏でていただきます。その迫力のあるパフォーマンスに注目です。

実は、途中の姫の姿も香風さん。
さすが、振り向きざまの「誰かおる!」は、迫真
の演技でした。
スイッチの入り方が、やはり本物です。

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